皆さん、不二流体術というものをご存じでしょうか?
護身術の一種である不二流体術は、昭和30年に古賀不二人によって創始され、突き・蹴り・当身・逆・固め・締めといった日本古来の伝統的体術技法のことです。
不二流体術の特徴は、他の格闘技と異なり、体重差、体格差を超えた武術であるということ。
生死をかけた戦闘における武技を基本としている為、そこには体格差や体重差はありません。
自分よりも遥かに大きな相手の攻撃に対して、「体捌きをしつつ、一歩前へ出る」というのが、不二流体術の戦闘理論です。
つまり、力で力に対抗するのではなく、力を技で封殺するための極めて合理的な戦術を備えているのです。
こういった戦術の実践を可能にするのは「姿勢」です。
不二流体術は、稽古によって今までに使っていなかった身体機能や様々な感覚を養います。その為に、最も基本的であり、最も重要なものが「正しい姿勢」なのです。
今回は、この「姿勢」について説明していきます。
中心軸を保ったぶれない姿勢が護身術を学ぶ上で重要です。
実際に護身術を学ぶにあたって、大切なことは姿勢です。常に体の中心軸を意識し、バランスのとれた姿勢を保つことが稽古をする上で重要です。
バランスのとれた姿勢というのは、身体を横から見て、頭頂部、耳、肋骨、骨盤、脚が一直線上に並んでいる状態です。
これは心技体を要求される武術や武道全般に言えることです。
相手からの攻撃をかわす時も、こちらから技を仕掛ける時も、常に体の中心軸を意識し、体がぶれないように姿勢を保つことが必須です。
相手からの攻撃を受けた時、自分の体の中心がぶれてしまうと、そこに隙ができてしまいます。また攻撃する際も例えば足を上げた時に中心がぶれると、相手がそれをかわした際に逆にこちらがバランスを崩してしまいます。
つまり戦いにおけるいかなる場面で、自分がどのような体勢になったとしても、体は常に真ん中に筋が一本通ったぶれない姿勢でなければいけません。
(写真①) (写真②)
この写真①のように、構えた時に前かがみになってはいけません。これは軸が前に傾いています。正しい姿勢は写真②のように、体の中心に軸が真っ直ぐ一本通っている姿勢です。この姿勢を保つことで、相手からの攻撃を受けてもバランスを崩すことはありません。
(写真③)
またこの写真③は、片足を上げてその足を胸に押し当て、その状態で軸を真っ直ぐに保つ稽古です。
片足になるとどうしてもバランスを崩しがちですが、稽古を積み重ねることで、この体勢でも敵からの攻撃をかわし、自分に有利な状況にもってくることができます。
本道場では、どのような体勢をとっても、体の中心軸を意識してぶれないように保つ稽古をしています。
それではこの中心軸を保つために、大切なことは何でしょう。その答えが「丹田」にあります。
体の中心軸を保つために大切なもの、「丹田」とは?
これからその丹田について説明しましょう。
丹田とは、身体の中心ラインのさらに中核であり、身体の重心となる場所です。
具体的にはお臍から指3本分くらい下の部分にあり、体のエネルギーが集まる場所を指しています。
昔から日本人は
「腑に落ちる」「腹を割って話す」「腹におさめる」といったように、腹(肚)に心があり、物事を腹で考え、捉えてきたのです。そして武士の世の中で、この丹田を切り裂くことが「切腹」なのです。丹田を切り裂くことで、丹田が機能しなくなる、つまりそれが「死」を意味していたのです。
それだけ昔からこの丹田は武士の世界で根本を成しており、そしてそれは武術の上達のカギを握る上でも大変重要となっているのです。
このように身体と心の中心である丹田を常に意識することで、本来別のものである「身体」と「心」を、限りなく一つに近づけることができるのです。身体と心のバランスをとり、それらを一つのものとして捉えようとすること、それが不二流体術を学ぶ上で最も大切なことであり、ひいては現代の日常生活においても言えることです。
不二流体術三代目宗家によるこのような言葉があります。
不二流体術の「不二」とは「二つではあらず」という意味である。
左右は二つではあらず、しかし一つではない。
上下は二つではあらず、しかし一つではない。
身体と心は二つではあらず、しかし一つではない。
二つあるが1+1=2ではない。しかし、1でもない。
不二とは二つではあらずという言葉でしか表現できないものである。
不二とは真理を言葉で現わす限界の言葉。
素敵な言葉ですね。本来別の物だけれども限りなく一つに近づける。長年連れ添った熟練の夫婦のようです。
不二流体術では、体の中心軸を保ち、丹田を意識し、全身の力の繋がりや、身体と心の繋がりを意識して、日々鍛錬に励んでいます。
この記事を読んでいただき、真の護身術を学びたいと感じられた方は、是非不二流体術名古屋・大阪道場にご連絡ください。
℡052-880-4504
本物の身体作り、本物の技、そして本物の護身術をお教えします。